男女の
からだのしくみ

男女のからだの違いは?
妊娠の流れを知ろう。

男女のからだのしくみ

かわいい我が子をこの手に抱きたい…。
そんな思いが頭をよぎった方にまず知ってもらいたいのは、
新たに生命を授かることの偉大さです。

男女とも健康な場合でも、1回の性行為で妊娠できる確率は、
20代前半で30%、30歳で20%、35歳では10%と言われています。

赤ちゃんを授かるのは様々な奇跡が重なった生命の神秘なのです。

生命の神秘を生み出すのは男性と女性ですが、
妊娠に至るまでの役割は大きく異なります。

妊活を始める前に男女のからだのしくみと妊娠までの流れを知っておきましょう。

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01. 男女のからだのしくみ

女性のからだ

女性には卵巣や子宮などの女性器があります。簡単に言えば、卵巣は卵子を生み出し、子宮は赤ちゃんが育まれる場です。ここでは、もう少し掘り下げてそれぞれの働きを見てみましょう。

卵巣 (らんそう)

卵巣は親指大の大きさで、左右対になって存在している臓器です。卵巣の中には卵子の元となる原始卵胞があり、生まれたばかりの時の数は200万個にも及ぶとされています。そして、原始卵胞は思春期になる頃までに10分の1ほどに減少し、その後も一か月で1000個ほどの原始卵胞がさらに失われていくのです。

原始卵胞は成熟すると卵管に向かって卵子が放出される「排卵」が起こります。この成熟を促すのは脳の下垂体という場所から分泌されるFSHというホルモンです。卵巣の中で卵胞が育つにつれて、卵胞からは「卵胞ホルモン(エストロゲン)」が分泌されます。

そして、排卵が無事に終了すると卵子を包んでいた卵巣内の卵胞は「黄体」に変化します。黄体からは黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれるホルモンが盛んに分泌されるようになり、受精卵を迎え入れるために子宮が着床しやすい状態に整えられていきます。

このように、卵巣は妊娠に欠かせない卵子の成熟と卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)の分泌を行う非常に重要な臓器。卵巣の機能に何らかの異常がある場合は妊娠が難しくなります。

子宮 (しきゅう)

子宮は赤ちゃんを育むための臓器です。その大きさは鶏の卵ほどとされていますが、子宮は柔軟性のある筋肉で構成されており、妊娠するとどんどん大きくなっていきます。非妊娠時の2000~2500倍もの容積にまで広がるのだとか。そんな子宮の内部は「子宮内膜」と呼ばれる組織に覆われています。皆さんが毎月付き合っている生理は、この子宮内膜が剥がれ落ちたものです。

子宮内膜は受精卵が着床する場でもあります。このため、排卵期を過ぎるとプロゲステロンの働きによって子宮内膜はふかふかなベッドのように着床に適した状態に成熟していくのです。

そして、着床がなかったときは一気にプロゲステロンの分泌量が減少して、子宮の壁から剥がれ落ち、生理となります。このため、生理後の子宮内膜は非常に薄い状態に。排卵までの間に、エストロゲンの作用によって子宮内膜が増殖して厚くなっていきます。

このように、子宮の内部では妊娠に向けて目まぐるしい変化が生じているのです。

子宮
子宮

男性のからだ

男性には陰茎や精巣などの男性器があります。精巣では精子が作られ、陰茎は射精を引き起こす器官です。いずれも妊娠に欠かせない重要な器官ですが、もう少し深くそのしくみを見てみましょう。

精巣 (せいそう)

精巣では男性ホルモンの分泌と精子の生成が行われています。女性は生まれた時から卵子の元となる原始卵胞の数が決まっていたのに対し、精子は毎日新しく次々と作られているのが男女の大きな違いです。

精巣で作られた精子は精嚢(せいのう)や前立腺で作られた液体と混ざり合って精液になります。1mlあたりの精液には精子が2000万以上含まれており、子宮内に入り込んだ精子は泳いで卵管まで到達。無事に卵子と出会うことができれば受精できるのです。

精子の量や質は妊娠を叶えるための重要なファクター。精巣の精子を作る機能に異常がある場合は妊娠しにくくなるのです。

陰茎 (いんけい)

陰茎は性行為において、膣内で射精し、精子を子宮内へ送り届ける重要な働きを担う器官です。陰茎は性的な刺激や興奮を受けると血流が増える性質があり、「勃起」という現象が起こります。勃起は射精を成し遂げるために必要な現象。勃起が起こらないと妊娠につながる性行為をすることはできません。

しかし、男性はとてもデリケート。ストレスや疲れなどがあると勃起が起こらなくなることも…。最近では、パートナーが妊活に力を入れるあまり精神的に追い詰められて勃起できなくなる、いわゆる「ED」になってしまう方も多いとされています。

陰茎

02. 妊娠の流れ

男性と女性にはそれぞれ妊娠が成立するための様々なしくみがあることが分かりましたね。
しかし、妊娠するには「タイミング」が重要です。それぞれのからだのしくみが妊娠の成立にどう関わるのか詳しく見てみましょう。

  • 排卵(はいらん)

    生理が始まって成熟した子宮内膜が剥がれ落ちると、卵巣からはエストロゲンが盛んに分泌されるようになります。エストロゲンの作用は子宮内膜の増殖。そして2週間ほど経つと、十分に大きく成長した卵胞から卵子が飛び出す「排卵」が生じます。

    排卵
  • 受精(じゅせい)

    排卵した卵子の寿命はおよそ24時間。その間に精子と出会わなければ受精することはできません。性行為によって膣内に放たれた精子は泳ぎながら子宮を経て卵子がいる卵管に到達します。精子の大きさは60μmですから、とてつもない距離を泳ぐことになります。もちろん、卵子まで到達できずに力尽きる精子も多いのです。

    そして、無事に卵子まで到達した精子は最後の大仕事をしなければなりません。それは、卵子を包む透明帯と呼ばれるバリアのような膜を破ること。この膜を破ると無事に受精することができるのです。

    受精
  • 着床(ちゃくしょう)

    受精が成立すると、卵子の周りには新たなバリアが作られて他の精子が入り込めなくなります。こうして出来上がった受精卵は分裂を繰り返しながら5~7日かけて卵管内を移動し、子宮に至ります。そして、プロゲステロンの作用によってふかふかになった子宮内膜の中に潜り込むように着床、つまり妊娠が成立するのです。

    着床すると分裂を繰り返した受精卵は絨毛と呼ばれる根っこのような組織を子宮内膜に結び付け、胎盤の元を形成していきます。受精からここまでには14日ほどかかるとされており、ちょうど生理予定日頃のことです。

    着床

このように、妊娠が成立するにはタイミングよく卵子と精子が出会うことが大前提となります。また、受精したからといって必ずしも着床に成功するわけではありません。
妊娠は元気な精子、状態の良い子宮内膜、タイミング…様々な条件がそろって初めて成し遂げられる奇跡なのです。